コロナ禍をきっかけに一気に広がったリモートワーク。
「もう出社には戻れない」と感じた人も多いのではないでしょうか。
しかしここ最近、IT企業を中心にリモートワークを廃止し、出社回帰へと舵を切る企業が増えています。
さらに、「リモートワークを魅力に採用を強化していた企業」が、制度を維持しきれずに方針を転換するケースも見られます。社員からは「制度が急に変わって戸惑った」「リモートを前提に転職したのに残念」という声も少なくありません。
では、なぜ企業はリモートをやめようとしているのか?
そして、これからの時代に求められる自分らしい働き方とは何なのか?
本記事では、実際にフルリモートで働く筆者が、リモート廃止の背景・企業側の理由・これからの働き方のヒントを整理してお伝えします。
このテーマについては動画でも詳しく話していますので、ぜひそちらもチェックしてみてください!
リモートワーク廃止が進む3つの理由
感染リスクの低下や経済活動の正常化が進む中で、企業の中には「やはり出社した方が生産性が高い」と判断し、出社回帰の方針を打ち出すケースが増えています。
また、リモートワークが長期化したことで「コミュニケーション不足」「若手の育成難」「企業文化の希薄化」など、組織運営上の課題が表面化してきたことも背景にあります。
リモートという働き方が長く続いたことで、マネジメントや組織文化など、企業の根幹に関わる課題が徐々に浮き彫りになってきています。
ここでは、その中でも特に多くの企業が共通して挙げている3つの理由を整理してお伝えします。
リモートになってから「時間」と「心」に余裕ができて、仕事の質も上がったよ!
出社が悪いわけではないけど、今の働き方の方が自分には合ってるなと思う!
コミュニケーション不足による生産性低下
リモートワークで最も多くの企業が課題として挙げるのが、「コミュニケーション不足」です。
チャットやオンライン会議で業務のやり取りはできますが、オフィスで自然に生まれていた雑談や立ち話のよう会話がリモートワークでなくなってしまったようです。
この雑談には、意外と大きな価値があります。
「最近どう?」といった何気ない会話から新しいアイデアが生まれたり、チームの雰囲気が柔らかくなったりすることもあります。
しかしリモートでは、予定されたミーティングだけで完結しがちで、関係性がどうしても業務的になりやすいです。
その結果、
- チーム全体のスピード感が落ちる
- 誤解やすれ違いが増える
- 孤独感を感じる人が出てくる
といった影響が出てしまい、生産性にも少なからず影響しているようです。
一方で、これは「リモートだから起きる問題」ではなく、工夫次第で改善できる課題でもあります。
たとえば、Slackのハドル機能でちょっとした雑談を取り入れたり、ミーティング前に1分だけアイスブレイクを設けたりするだけでも、関係性は大きく変わります。
そして実は、出社している職場でも「話しかけにくい雰囲気」があれば同じことが起こります。
つまり、大事なのは出社かリモートかではなく、コミュニケーションが生まれる環境をどう設計するかだと感じます。
若手育成・マネジメントの難しさ
リモートワークが長期化する中で、多くの企業が課題として挙げているのが若手育成やマネジメントの難しさです。
オフィス勤務であれば、上司や先輩がどんな風に仕事を進めているかを自然に見て学べます。
「報告のタイミング」や「お客様への対応の仕方」など、細かな動きや空気感から学ぶことが多いですよね。
いわゆる背中を見て覚えるという成長の機会が、リモートでは圧倒的に減ってしまうようです。
また、マネジメントする立場から見ても、画面越しだけのやり取りでは限界があります。
「今この人はどこでつまずいているのか」「どんなサポートが必要なのか」といった部分が見えづらく、タイムリーなフォローが難しくなります。
ただ、リモートワークでもマネジメントはしっかりできます。
むしろ「仕組み」と「コミュニケーション設計」次第で、スムーズなマネジメントができるケースもあります。
たとえば、進捗を可視化できるタスク管理ツールを活用したり、1on1ミーティングを定期的に設定して小さな変化を拾う仕組みを作ったりすること。
また、Slackやチャットで「気軽に話しかけられる空気」をつくっておくことで、リアルな距離がなくても心理的な距離を近づけることができます。
つまり、リモートワークが問題なのではなく、マネジメントの仕組みをアップデートできていないことが問題の原因かと思います。
リモート環境でも「人を育てる」「信頼関係を築く」ことは十分可能です。
企業文化の希薄化
もう一つ、リモートワークが続くことで多くの企業が直面しているのが、企業文化の希薄化です。
オフィスで働いていた頃は、日々の雑談やランチ、イベント、飲み会など、業務以外のコミュニケーションを通じて自然と「会社の雰囲気」や「チームの一体感」が生まれていました。
しかしリモートワークでは、そうした偶然のつながりが生まれにくく、社員同士の関係がどうしてもドライになりやすいです。
企業側からすると、せっかく採用した人材が「この会社じゃなくてもいいかも」と感じて早期に離職してしまうのは大きな損失です。
だからこそ、「出社して顔を合わせることで文化を守ろう」とする動きにつながっているみたいです。
ただ、私はここにも一つ違う視点があると思っています。それは、「出社しないと文化が育たないわけではない」ということ。
大切なのは、オンラインでも価値観や文化を共有できる仕組みをつくることです。
たとえば、週1回のオンライン全体朝会や、メンバー同士が気軽に話せるハドルミーティング、Slackでの雑談チャンネルなど。
ツールを上手く使って「人とのつながりを感じられる瞬間」を意識的に作ることで、リモート環境でも企業文化はしっかり育っていきます。
私自身のリモートワークに対する考え
ここまで企業がリモートワークを廃止する理由を整理してきましたが、ここからは私自身の考えをお話ししたいと思います。
私はフルリモートで働きながら、副業や朝活を通じて「会社に依存しない働き方」を実現してきました。
その中で感じたのは、リモートワークは自由な働き方というよりも、「自己管理力が試される働き方」だということです。
リモートは誰にとっても便利に見えますが、実際には「自分で考えて動く力」がないと成り立ちません。
スケジュール管理や仕事の優先順位付け、コミュニケーションの取り方まで、全てを自分で設計する必要があります。
逆に言えば、それができる人にとってリモートは、最もパフォーマンスを発揮できる環境だと感じます。
よく「リモートだとサボる人が出る」と言われますが、それはリモートの問題というよりも、本人の意識と組織の仕組みの問題です。
成果を出す人は出社でもリモートでも結果を出しますし、そうでない人はオフィスにいてもサボります。
そしてもう一つ大事なのは、リモートワークは成果を出してこそ意味があるということ。
「通勤がない、自由に働ける」それだけでは、ただの快適な環境終わってしまいます。成果を出すからこそ、周囲から信頼され、自由な働き方を続けることができます。
自由の裏には責任がある。リモートワークはまさにそのバランスの上に成り立っていると感じています。
リモートは甘えでも特権でもなく、自分を律しながら、成果で信頼を築く働き方。
それが私の考えるリモートワークの本質です。
リモートのメリットは想像以上に大きい
リモートワークには課題もありますが、実際にフルリモートで働いてみると、そのメリットの大きさを強く実感します。
「通勤がなくなる」「自分のペースで働ける」といった表面的な利点だけでなく、時間・心・働き方のすべてにポジティブな変化をもたらしてくれます。
ここでは、実際に感じたリモートワークの具体的なメリットをお伝えします。
通勤時間ゼロで「自分の時間」を確保できる
リモートワーク最大のメリットは、なんといっても通勤時間がゼロになることです。毎日の往復にかかっていた1〜2時間、年間にすると数百時間もの時間を、自分のために使えるようになります。
私も以前は、満員電車に揺られて会社へ通う生活をしていました。朝は早く起きて身支度をして、夜は疲れ切って帰宅。気づけば「仕事のために生きているような毎日」になっていたと思います。
でもリモートになってからは、その時間を朝活や副業、勉強に充てられるようになりました。仕事の準備を始めるまでに少し余裕ができたことで、1日のスタートが穏やかになり、メンタル的にも安定しました。
自分の時間を自分でコントロールできるようになったことは想像以上に大きかったです。
この「時間の主導権」を取り戻せたことが、リモートワークで得られた一番の価値だと感じています。
メンタルと体力に余裕が生まれる
リモートワークを始めてから強く感じたのは、心と体の余裕がまったく違うということです。
出社していた頃は、朝の満員電車でストレスを感じ、帰りはクタクタ。通勤だけでエネルギーの半分を使ってしまい、仕事が終わったあとは何もする気になれませんでした。
でもリモートになってからは、その消耗がなくなりました。自宅で落ち着いた状態のまま仕事を始められるので、集中力が続く時間が長くなり、パフォーマンスも上がったと感じています。
また、昼休憩に軽くストレッチをしたり、気分転換に外を散歩したりと、心身をリセットできる時間を作れるのも大きなメリットです。
体力とメンタルに余裕があると、仕事にも前向きに取り組めるようになります。
家族との時間が増える
出社していた頃は、帰宅が夜遅くなり、家族が寝静まってから家に着くのが当たり前でした。
「平日はほとんど顔を合わせない」「週末だけ一緒に過ごす」
そんな生活が続くと、どうしても心の距離ができてしまいます。
でも、リモートワークになってからは状況が一変しました。昼休みに一緒にご飯を食べたり、休憩中にちょっとした会話をしたりと、何気ない時間を共有できるようになりました。
特別なことをしているわけではありませんが、こうした小さな積み重ねが、家庭の空気を穏やかにしてくれました。
家族と過ごす時間が増えることで、仕事へのモチベーションや安心感も自然と高まります。
「仕事のために家族を犠牲にする」のではなく、仕事も家庭も両方大切にできる働き方。それを実現できたのが、リモートワークの大きな恩恵だと思っています。
月曜日が憂鬱でなくなる
リモートワークを始めてから、月曜日の朝が驚くほど楽になりました。
出社していた頃は、日曜日の夜になると「明日からまた一週間か…」と気が重くなっていました。
早起きして満員電車に揺られ、朝から慌ただしく動き出す。その繰り返しが、いつの間にか当たり前のストレスになっていました。
でもリモートメインになってからは、そうした負担が一気に減りました。朝の時間に余裕ができて、ゆっくりコーヒーを飲んだり、軽く勉強したりしてから仕事を始められる。
たったそれだけの違いなのに、気持ちの切り替えが全然違います。
リモートワークで成功している企業も多い
リモートワークは「生産性が下がる」「組織がまとまりにくい」といったイメージを持たれがちですが、実際にはリモートをうまく活用して成果を上げている企業も多く存在します。
たとえば、全国どこからでも採用できるようになったことで、優秀な人材を地方から採用できる企業が増えています。
また、子育てや介護など、家庭の事情を抱えながらも柔軟に働ける仕組みを整えることで、離職率の低下や従業員満足度の向上につながっているケースもあります。
リモートワークは、組織を弱くする仕組みではなく、
仕組みを整えられる企業ほど、リモートで強い組織を作れる時代になっています。
リモートワークと監視ツールの問題について
リモートワークが広がる中で、もう一つ見過ごせないのが「監視ツール」の導入問題です。
一見すると「リモートOK」と言いながら、実際には社員のPC操作を監視したり、カメラを常時オンにさせたりする企業もあります。
しかし、これは本来のリモートワークの価値、「信頼に基づく成果主義の働き方」とは真逆の発想です。
監視される環境では、社員の創造性や主体性が失われやすくなります。「見張られているから動く」ではなく「自分の意思で成果を出す」この意識こそが、リモートワークを成立させる本質だと思います。
企業にとっても、本当に重要なのは勤務中の操作ログではなく、アウトプットと成果の質です。
信頼と責任をベースにしたマネジメントへシフトできるかどうかが、今後の企業文化を左右していくと感じます。
出社でしか得られない価値もある
ここまでリモートワークの魅力をお伝えしてきましたが、もちろん出社でしか得られない価値も確かにあります。
まず大きいのは、信頼関係の構築です。
同じ空間で働くことで、相手の表情や声のトーン、ちょっとした反応から気持ちを読み取ることができます。
オンラインではどうしても伝わりにくい「温度感」や「空気感」が、リアルな場にはあります。
また、偶然の会話から生まれるアイデアも出社ならではのものです。会議前後の雑談や休憩中の立ち話が、思わぬ企画や改善策につながることもあります。
こうした「偶発的なコミュニケーション」は、リモート環境では意図的に作らない限り生まれにくいものです。
さらに、チームの一体感や連帯感も、やはり顔を合わせてこそ強まる部分があります。同じ空間で同じ目標に向かって働くことが、自分たちはチームだという感覚を自然と育ててくれると思います。
リモートの自由さと出社のリアルなつながり、どちらか一方に偏るのではなく、双方の良さを活かす働き方が、これからの理想の形になりそうです。
これからの働き方に必要な2つのこと
ここまで「リモートワーク廃止の背景」や「出社とリモート、双方の価値」についてお話ししてきました。
では、環境が大きく変化していくこれからの時代、私たちはどんな働き方を目指していけばいいのでしょうか。
ここからは、そんな時代に求められる「これからの働き方に必要な2つの力」についてお話しします。
柔軟に働き方を選べる環境を持つこと
これからの時代において大切なのは、リモートか出社かのどちらかに固定されないことだと思います。
会社の方針や制度に振り回されず、自分のライフスタイルやキャリアに合わせて「どう働くか」を選べる環境を持つことが、これからの安定につながります。
リモートワークが当たり前になった今でも、「明日から原則出社です」と言われた瞬間に生活リズムが大きく崩れてしまう人は少なくありません。
つまり、働き方を会社任せにしていると、自分の時間もキャリアも他人にコントロールされてしまいます。
そのためにも、環境が変わっても対応できるように、自分の軸を持って働くことが大切です。
たとえば、朝活や副業など、会社に依存しない「自分で決めた時間」を持つこと。通勤があっても続けられる習慣や学びのスタイルを確立しておけば、どんな環境でも自分のペースを保てます。
柔軟な働き方とは、会社に求めるものではなく、自分でつくり出すもの。
その力を身につけることが、これからのキャリアを安定させる最大のポイントだと思います。
どんな環境でも成果を出せるスキルを磨くこと
もう一つ大切なのは、環境に関係なく成果を出せるスキルを身につけておくことです。
リモートでも出社でも、成果を出す人は共通して「自己管理」と「学び続ける姿勢」を持っています。
時間の使い方を自分で管理して、与えられた環境の中でどう価値を生み出すかを常に考えています。
一方で、「出社じゃないと集中できない」「上司が見ていないと動けない」という状態だと、会社の制度が変わった瞬間にパフォーマンスが落ちてしまいます。つまり、働く場所よりも自分の状態をどう整えるかの方が大事です。
結局のところ、リモートでも出社でも問われるのは場所ではなく、自分の力で成果を出せるかどうか。
このスキルを磨いておくことで、環境が変わってもキャリアが揺らがない、強い働き方ができると思います。
まとめ
コロナ禍をきっかけに広がったリモートワークですが、今では「出社回帰」の動きも強まっています。
しかし大切なのは、リモートか出社かという働き方の形そのものではなく、どんな環境でも成果を出せる自分をつくることだと思います。
リモートが続いても、出社に切り替わっても、自分のペースで結果を出し続けられる人は強いです。
安定を生み出すのは会社でも制度でもなく、自分のスキルと習慣です。
どんな環境でも前向きに成長できる力を身につけておけば、働き方が変わってもキャリアはブレません。
リモートでも出社でも、自分で成果を出せる働き方、それこそが、これからの時代に必要な本当の安定だと思います。
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